小光子の心

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zoom RSS 沼島の鱧のようにナガ〜イちぬ釣りのお話

<<   作成日時 : 2010/05/11 19:16   >>

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 朝靄に揺れる大きな島が眼前を塞ぐ。
島が揺れることなどあろう筈はないが、穏やかな海なのに、荒い息遣いをして懸命に走る老いた渡船の舷に、小光子が立っているからにほかならない。
島ではなく自分が揺れているのだ・・・・。
ここに集まった若い人たちを見ていると、船と自分が重なり合って、船のオンボロささえ愛おしく思えてくるのは、還暦を過ぎてしまった男の一種の感傷なのであろうか。しかし、少し荒れれば、この船の能力ではおそらく危険を伴うであろう・・。

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辺りを日本地図的にみると、本州側には明石海峡、四国側には鳴門海峡という狭い隙間を残し、淡路島は、太平洋を隔てて、まるで瀬戸内海に蓋をするように鎮座している。
従い、潮の干満の時には大きな海と小さな海に、大きな落差が出来て、隙間は信じられないような急流になるのだ。それがかの有名な鳴門海峡の渦潮だ。

揺れていた島は、この淡路島の四国寄りの南端沖に浮かぶ沼島(ぬしま)だった。
つまり沼島は、紀伊水道の北の突き当たりに位置して、、お魚さんを受けているようにも見える。

沼島というと、「鱧料理」で有名な土地柄だ。
聞いた話だが、鱧料理と言えば「京都の夏の料理」、実は京都の料亭は鮎にしても鱧にしても、あまり大きな物を扱わない。従い、この辺から出荷される鱧はサイズも厳選され、適度な大きさのものが値も良く、京都に出荷されていたようだ。結果、残った大きな鱧は現地で消費され、この辺りの鱧料理は大ぶりのものを美味しくいただくようになったという話だ。この話が本当だとしたら、これも文化なのかも知れない。
小光子は沼島は初めてなので、ここの鱧料理を食べたことはないのだが、たぶん鱧の妙味である皮の弾力を楽しむには、大ぶりな固体の方が良いのかも知れない。一度食べてみたいものだ。

プロローグが長くなったが、そう、この日は小光子の釣り日和だった。
今年になって極めて釣行は少ないのに輪をかけて、釣果も惨憺たるもの。
超スランプに陥っている小光子を見かねて、知人のkoujiさんが兵庫県のチヌ釣り師達のクラブの大会に誘ってくれたのだ。小光子は沼島に行きたくて、なんとか釣行できる条件を作り、飛び入り参加をさせてもらったのだった。

出場者数は3十数人、渡船を借り切っての大会で、こんなに大勢のクラブ員がおられるとは思ってもいなかった。
釣り物は「チヌ・真鯛」と聞いていた。過去に日本海で使っていた僅か一本だけ残っている0号のチヌ竿があるのだが、白浜の物置に眠っているため、その日は腰の柔らかいアテンダー1.5号の磯竿でチヌの代用をし、そして欲深くも、大型マダイを想定して出かけていった小光子だった。

1番船、その1時間後に2番船、くじを引いての渡礁だったのだが、小光子は初出場と言うことで、無条件で1番、そして中谷さんという若者と御一緒させてもらうことになり、特別扱いだが、グズグズしている間もなく、お気遣い、御好意を気持ちよく受けることにした。

上がった磯は青磯といい、淡路島の南端の沖の、さらに沼島の南端の沖の、離れ磯で、良い場所だそうだ。
5時20分頃渡礁、中谷さんも始めての場所らしく、Koujiさんに電話をしてポイントを聞いている。

小光子は沼島は初めてで、全く状況がわからず、高場に上がる。
磁石で方向を確認すると、南北に細長い魚の背びれのような磯の釣り座は、南側にかろうじて2人、北側の高場に1人分の狭い立ちポイントがある。

南向きは左前に離れ磯があり、頃合の良い水道ができている。もう一つの南側の釣り座は、右(西)向きは深くなっているようで、太平洋に対面している。

中谷さんがKoujiさんにtelで、南向きの水道で沢山釣った経験があるから、「そこに入れ」と聞いて、小光子に強く勧めてくれる。
しかし、小光子は撒き得もタックルも、大した想定もなく来たので、準備に時間がかかることもあり、また、青年の優しい心遣いに感謝することだけで充分に嬉しく、ここでは彼の好意に甘えることを控え、彼に水道側に先に入ってもらった。

そこで北側の磯に立ち、状況を観察する。立ち位置は身動きが難しいほど狭く、小光子の5mのタモでは届かない高さで、バランス感覚の悪くなった小光子にとっては、足がすくむほどだ。
左沖にはまた離れ磯があり、仲間が一人立っている。
20mほど左前に、少し頭を出した根に、沖から来た波が砕けて小さなサラシをつくり、潮を左から右へ流している。
早朝一発は左から右(西から東)へ流れる潮筋の手前でくるかも知れないが、おそらくその潮筋が右奥へ分散して流れる潮を釣るのがいいだろう、と判断し、小光子は仕掛けを作れる場所に戻る。

天気予報では昼から弱い北風とあったが、その時点では無風だった。撒き得は配合えさが軽い白ちぬのみなので、北風が吹けば遠投が苦しいが、昼までやれれば、なんとかなるであろう。
少し遠投になるので自重の重いキザクラ環付きアラ0号で打ち込み易くする作戦だ。
まずはガン玉無しの全誘導から。
マダイが居る場所ではないので、大チヌ狙い。道糸2.5号にハリス2号。竿はがまかつアテンダー1.5号だ。

さあ、これからだ!と言うときに南向きの中谷さんはすでに小さめのカンダイを取り込んでいた。

6時過ぎ、仕掛けを投入する。最初は餌取りもない状況。
想定した潮に乗ってウキは流れ、右に流れすぎると3ヒロくらい入ったところで根にもたれてしまう。
もう少し、右奥へ流れる潮を釣ろうと、探していると反応があった。
ベラ、ベラ、ベラ、と釣った後、少しマシな手ごたえがある。
あがってきたのは型のいい海タナゴ。

しばらくして、チヌの手ごたえ、重くはないがよく引くチヌだ。タモが届かない。ブリ上げできなくはないサイズだが、滑りそうな斜面をタモと竿を持って降り、タモ入れした。
小さなチヌに息を弾ませて、1匹目をゲット。それから、ベラ、ベラ、と来てやはり3ヒロほどで、また、糸が走った。
先ほどよりは重たい。大したことはないが、カンダイの後、中谷さんはしばらく暇にしているようだったので、危険を避けてタモ入れを頼んだ。

中谷「もう2枚目ですか。さすがですね・・。棚は何ヒロですか?」、
小光子「そうね、3ヒロ弱で食っているようですよ!」。
中谷「ウ〜ン、浮いているんやな・・・・」

バカな小光子は気を良くして「ヨーシ、これからサイズアップだ」と小光子は打ち返す・・・・。
しかし8時半を過ぎていたか、強くはないが北風が吹いてきた。
想定よりも早すぎる。何とか撒き餌を左から右に流れている潮筋の向う側に飛ばそうとするが、徐々に無理が出てくるのだ。仕方なく手前を釣るも、フグばかり・・・・。10時頃まで辛抱したか・・。

その間に中谷さんは水道側で爆釣モードに入っているようだ。すでに4.5枚を釣っていたか?

一方、早過ぎた北風に小光子は困惑。そして、仕方なく、チョット休憩。塩昆布と竹の子山椒の入ったおにぎりを食べることにした。
一個を中谷さんに薦めに行ったが、「持っているから・・」と辞退されたにも関わらず、バカな小光子は無理強いをした。邪魔する気はなかったが、後から考えれば地合いだったのか、彼は釣る時間が惜しかったのかも知れない・・・・?悪いことをしたものだ。

小光子はゆっくりと、おにぎりを2個食い終わって、もう北向きはダメだ、と諦める。
中谷さんは心優しく、「隣で釣って下さい」と言ってくれる。しかし、それは滅多に無い爆釣モードに水を差す。
これは勿論辞退して、小光子はもう一つだけ残っている、南西側の1mほど、飛び降りなければならない釣り座から、西向きの深場で、半分やけ気味にマダイを狙うことにした。
それでも、大マダイの想定は尚残して、スプールを交換し、道糸を3号に、ハリスを2.5号にした。これで食いつけば70オーバーのマダイは取れる。
ウキ止めを外し、ウキは水平ウキを-B位にして、6ヒロ付近に目印をつけて4ヒロから7ヒロを探ることにしたのだ。
しかし、潮が走らない。ウキに貼った板オモリをはがしても仕掛けはドンドン落ちてしまう。
時たま、かすかな餌取りのアタリを感じることはあるが、全くいい状態を作れない。底潮の動きが殆んど無いからだ。

仕方なく、マダイも諦め、マダイ狙いの沈め釣りで、同じ釣り座から南西竿2本の3ヒロ位のところに沈み根があるのが、わかっていたので、その回りを半誘導のチヌ狙いでやってみることにした。すでにもう11時になっていた。

左水道側では、中谷さんの入れがかりの状態が続いている。

一方小光子はいまだ2匹のままだ。

とりあえず4ヒロで沈み根にもたれるような流れを探して打ち返していると、ウキが根がかりしたようにシモっている。

合わせた、チヌだ・・!

元気のいいチヌだが、タックルはスプール交換が面倒だったので道糸3号のハリスは2.5号のまま。
強引に一気に取り込むと、40は超えている。
中谷さんはそれを水道側で見ていて、わざわざ釣れ盛っている手を止めて、魚を取りに来てくれるのだ。
タモと竿を持って1m程の段をよじ登るのを大変だと思ったのでしょう。
本当によく気がつく優しい青年だ。
確かに、タモをもって昇るのはいささか骨が折れる。もう来てくれているので、小光子は甘えて魚を受け取ってもらったのだった。
ここまでやれる人は、人の気遣いが本能的に出来る素質を持っている人だと、小光子は思う。
上手く世の中でそれを役立たせる事が出来れば、彼の人生は
良い方向に向く筈だ。

これはまだいけるかも知れない、小光子のやる気は復活し、魚を浮かす作戦開始・・・・。
撒き餌を少量づつ頻繁に巻き続ける、半誘導の棚を徐々に上げて行く。そして3ヒロ強にした時、今度はウキが小気味良く消しこまれた。
ガツン・・・!
完全に捕らえた。すると、また彼が魚を取りにくれる。これは本当に申し訳ない。
これ以上甘えられないと思い、小光子はその後を辞退した。

それから立て続けに5枚追加した。棚は2.5ヒロになっている。どれも鮮明なアタリだった。
何よりも段を上がったり降りたりするのが重労働だったが、久しぶりの読みの釣りが嵌って、しばし疲れを忘れることができたのだった。

そして、かなり前から刺し得餌が不足し、ごまかしながら釣っていたこともあり、早めの12時半に、タイムアップした。
サイズはいささか物足りないものの、納得の楽しい釣りができ、ここで納竿することにしたのだった。

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結果を確認すると中谷さんは14枚、小光子は9枚。
2枚先行した小光子は北風の読み違いで中谷さんに逆転され、5枚も差がついてしまった。
しかし、恐るべし中谷さん、私の面倒を見ていなければ、もっと沢山釣ったことだろう・・。
そして大会結果も、彼は3十数名中の優勝者と輝いたのだった。
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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
日曜日はありがとうございましたゥ中谷です
小光子さん僕の事良く書きすぎです(笑)おにぎりありがとうございましたゥ全然迷惑じゃないですよゥ
自分も初めてZNCの例会に参加した時に同じ様に良くしてもらったんで同じ様にしただけですよゥ
それにしても爆釣でしたねゥまさかあんなに釣れるとは思いませんでしたゥ
小光子さんが食いの渋った自分に釣ってるのを見て秘かに勉強させてもらいましたゥ
途中タナなどアドバイスもらって助かりましたゥ
本当にいい勉強させてもらいました
また一緒に竿を出せる日を楽しみにしてますゥ
MOCO
2010/05/11 22:08
日曜日はお疲れ様でした!
遠方から参加頂きまして有難うございました。
これに懲りずに、これからも参加して下さいね!
一度参加したら最後!強制的に「ZNC」メンバーに登録されるシステムですので悪しからず!(笑)

それにしてもお元気ですね!(笑)
冒頭に出てきた「還暦」のお言葉で、ついビックリ思い出した程です。実にお若い!パートナーと2人、口を揃えて50半ばに見えましたよ。普段からテニス等して運動されてるからなんでしょうね!
次回から… 沼島ならもう少しゆっくり出発されても間に合いますね!(^_^;)

集計間違ってたみたいですみません!小光子さん9枚でしたら、名人賞の部で3位ですやん!カリスマ林氏の3位は剥奪しときますョ!(笑) まぁ今回は許してやって下さいね〜!(~_~;)
また次回、御一緒できる日を楽しみにしています!




kouji
2010/05/11 23:30
初参加、長時間の釣り大会 で3位! おめでとう!
臨場感あふれる 実況中継みたいで 
沼島の地図を見ながら 自分も参加気分で、
竿はなくとも 楽しめました。
それにつけても 皆さんキチガイですなあ・・・。
EGA
2010/05/12 12:15
Koujiさん、小光子の野蛮な釣りが伝染すると困る人が出てきませんか?ふふふふ。
釣りには沖縄や九州まで行くくらいですから、遠くても苦にはなりませんよ!ただ、今はなかなか釣行を確定できない状況下に置かれているだけなんです。
土曜釣行は出かけ易いです。また、誘ってくださいね。
借金も余り長い間、返さなければ利息が嵩みますからね(笑)
小光子
2010/05/12 15:05
Egaさんらしいですね。
釣りはやらないのに、小光子ブログで地図まで広げてくれましたか。アリガトウゴザイマス。地図と文章は一致していましたか?
そうですね。釣りをやらない人には、磯釣り師なんて、キチガイに見えるでしょうね。いい加減がなかなか無くて、打ち込みすぎるからでしょうか・・・
小光子
2010/05/12 15:14
日曜日はお疲れ様でした!
そして見事な釣果さすがですね〜♪

それにしてもいつ拝見させて頂いても見事な文章力!
同じブロガーとして自分の稚拙な文章力と比べたら尊敬に値します(笑)

僕自身もたまたまkoujiさんと釣り場で一緒になり、ZNCに参加させて頂く事になったのですが、本当にサービス精神旺盛な方達ばかりでいつも楽しく釣りをさせてもらっています。
次回も是非ご参加下さいね!
また僕にも釣りをご教授下さい!!

のぐお
2010/05/12 15:49
MOCOさん、こんにちは!釣れない時はどんな技術をもっていても釣れません。しかし、釣れる時に釣れないのは技術が無いからです。その点、MOCOさんはシッカリ釣ったんだから、アッパレですね!
人に向けるサービスそのものは応用問題の集まりだから、なかなか良いマニュアルなんかはありません。だから、教えて出来るようになるものでもない。サービス精神そのものなんですよね。故に素質だと思うんです。勿論、その素質は、自分を見失いがちになり易いという点で、いいことばかりではありませんが、美徳には違いありません。また、釣りに行きましょうね!
フフフフ、今度は小光子がサービスしますよ!ボラやフグを釣らせますよ!
小光子
2010/05/12 18:19
スランプ脱出、おめでとうございます!!!!

私も地図を見て場所確認したのですが、
釣り師のためにあるような島ですねー。
沼島の釣りの神が、小光子様にご褒美してくれたんですヨ

私もスランプ脱出狙いますw
シュンメ
2010/05/12 19:06
シュンメさん、貴女がスランプなんて・・・。
まあ、少し体が痛んでいると言うのは辛いですがね。

シュンメさんも地図を見てくれましたか・・・!
美しい海ですよ!いい作品のヒントになりはしないか。
自然は人々に創造力を与えてくれるような気がします。

沼島の神ですか・・。
いいですね。神はそれぞれの人の心に、個性的に棲んでいて欲しいですね。良くても悪くても力が出ますから。
小光子
2010/05/12 21:20
 のぐおさん、お越しいただきありがとうございます。
ブログらしく、もっと軽妙に書きたいものですが、なかなか上手くいかずに、いつもこんな形になってしまいます。小光子は小光子なりで、「ま、いいか!」ということにしています。
イロイロな釣り場に行っておられる様で、小光子の釣りは、超が付くほど我流ですので、こちらこそイロイロ勉強させてもらいます。よろしくお願いします。
小光子
2010/05/13 10:16

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沼島の鱧のようにナガ〜イちぬ釣りのお話 小光子の心/BIGLOBEウェブリブログ
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