小光子の心

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zoom RSS 魚面岩の伝説

<<   作成日時 : 2010/04/20 21:55   >>

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奈良県と和歌山県の境、果無山脈(はてなしさんみゃく)の千丈山北東麓に源を発し、太平洋に注ぎ込む自然豊かな日置川流域に、「市鹿野」という寒村があります。
今では、辺りは熊野大社に続く熊野古道で知られるようになりましたが、それはそれは、山深い秘境です。
この辺りには、カッパの一種である「ゴーライ」が山に入って化身した「カシャンボ」という一本足の妖怪の、不思議なお話があります。
市鹿野あたりではその妖怪を「1本だたら」とも言って、それらが「川と森」を守ってきたそうです。

画像


しかし、市鹿野ではこんな話が新たに見つかりました。

今は昔、日置川は、清流に沢山の魚が住む豊かな川でした。
豊かさ故に、この「市鹿野」には、紀州から落ちてきた落人たちが、自然に多く住みつき、やがて、漁業と林業を生業に大きな集落ができました。
そして人々がたくさん生活をし始めると、美しい川はひどく汚れはじめたのです。

ある闇夜の日、静まり返った日置川の渓谷から、大きな岩が川に落ちたような「ドドド〜ン」という音が響き渡りました。それから毎日のように日が暮れると水しぶきをともなう大きな音がこだまします。
村民は恐ろしくも不思議に思い、月夜の晩に手分けして、いったいそれが何なのかを確かめにいきました。そしてついに、バシャ〜ンと水しぶきがあがった瞬間に、月明かりに照らされて、今まで見たこともない大きな魚が飛び跳ね、「ドドド〜ン」という音とともに川に落ちる姿を目撃したのです。

しばらくして、たくさん居たアユやサクラマスが、ほとんど居なくなり、村民達は日々食べるにも、困るようになりました。
大魚は、河口にも少なくなった魚を追い求めて海から遡上してきた、川の魚を食い散らしている怪魚だったのです。

それから、小魚はおろか、人間までが襲われるようにもなってしまいました。親の言うことを聞かない子供達が川に近づけば、一口で食ってしまわれるようにもなったのです。
途方にくれた村の長(おさ)は、完全に魚が居なくなってしまう前に、なんとか怪魚を捕獲しなければならないと、屈強な村民達を選んで、退治に行かせたのです。
彼らは、色々な工夫をして、何度も何度も、勇敢に怪魚と戦いました。
しかし、指をかじられたり、手を食いちぎられたり、村民達はことごとく怪魚に苦しめられ、犠牲者はどんどんと増えるばかりです。
怪魚は、それはそれは恐ろしい魚で、人の身の丈の10人分よりも大きく、人間を食べるのがなによりも好きな、獰猛な魚だったのです。
このままでは村民が飢え死にしてしまいます。
そこで、村の長(おさ)は、重大な決心をしました。
聞くところによると、果無山脈の千丈山に「ヤマトステルノミコトソウスケ」という神が棲み、その神は美しい娘が大好きで、美しい娘さえ差し出せば、どんな困難な問題でも、見事に解決してくれるということだったのです。
困り果てていた村の長は、村民全体のことをよくよく考えて、「殿山小町」とも言われた、村一番の美しい自分の娘を連れ、険しい山をいくつも越えて、「ヤマトステルノミコトソウスケ」という神に会いにいきました。
そして、娘がとても美しかったことと、村民を可哀想に思った神は、「それでは」と、怪魚を退治するために山を降りてきたのです。

そこで、神がみたことは、市鹿野付近の川がひどく汚れているということでした。

「ヤマトステルノミコトソウスケ」は村民の愚かさをいたく悲しみ、その日から、川の神に、詫びの祈祷を何ヶ月も繰り返しました。
なんとか村民の心を洗えたと思った頃、ステルノカミソウスケは、頭を丸めて、怪魚の退治にあたったのでした。
そうすると、誰の手にも負えなかった怪魚は、いとも簡単に観念して、ソウスケに捕らえられたということです。
また怪魚は、魚が捕れなくて飢えていた市鹿野の村民の1年分もの食料にもなってくれたのです。
大きな魚は怪魚ではなく、川の神だったのかもしれません。
村民達はそんな大魚を慈しみながらも、自らの非を恥じました。
「川は汚さないように、大切にしなければならない」と、心から思ったのです。
そして、食べ終わった大魚の頭の骨を川底に沈めて、自分達の罪を忘れないようにしたということでした。
やがて、いろいろな魚が戻ってきて、鮎やサクラマスがたくさん居る美しい日置川になったということです。
また、市鹿野の村の長の娘の、それはそれは美しい殿山小町は「ヤマトステルノミコトソウスケ」の勇気と優しさを認めて、喜んで結婚をしてあげたということです。
怪魚の頭骨は、現在は化石となって川底に残り、愚かな人間の戒めとなっています。

画像

(これは小光子の作り話ですが、この画像の魚面岩は、ソウスケさんが住んで居る市鹿野の日置川の底に実在しているものを、小光子が撮影したものです。
そして、小光子が魚面岩を、みんなが知っているものとして話していると、意外にも村民達はそれを魚面岩とは見ていなかったのです。日常と言うものはそういうものかも知れませんが、それを意外に思った小光子は、こんな作り話を創ってみました。暇人でしょ!もっと面白くならないかなア〜、なんか工夫がありましたら、アドバイスをください)

                          作り話 2010年4月20日 小澤光博

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
いやぁ〜 凄い能力をお持ちですね!ビックリしました。
伝説が出来上がってしまいましたね!しかし、何とも意味深なお話ですこと…。
人面岩ならぬ魚面岩!確かに魚に見えます!(o^-’)b

kouji
2010/04/21 22:49
枠はなんだか古の匂いがしていいんだけど、肝心のストーリーがちょっと現代っぽいきがするんだけど、わたしだけかな?
昔話だからもっとオドロオドロしかったり、不思議なほうがよりそれっぽくなる気がするわ。

たとえば、河が汚れて怒ったんじゃなくて、河に棲むとっても高価な貝(都で人気)を採り尽してしまったとか、ヤマトステルノミコトソウスケも簡単に退治したんじゃなくって、大事な許婚の美女を人身御供に出したとかのほうがエゴだったり恐怖だったりがはいってそれらしい。

逆に、不思議ちゃんバージョンなら、昔の河童や人魚のように、昔から村の子供と楽しく遊んでいた河の精が、いきなりあわられた都の坊主に「このモノノケめ!」とかいわれて何にも悪くないのにやっつけられ、岩に閉じ込められてしまった。そして心優しい日置川の村民はかわいそうだと悼んで、毎年、その精が好きだった好物をお供えするようになった。

とかどう?
彩の風
2010/04/22 10:44
ははははははははははは
おもしろいですね。
出足で そうかいなと思っていたら、
ソウスケ神が出てきて、モンスター退治に。

さらに 彩の風が吹き さらに面白くしてくれる
楽しい 親子話ですなあ。

 ちょうど 家内が今日から 母親招待の南紀旅行に行きました。 
今日の豪雨も 魚面岩のたたりかも。
EGA
2010/04/22 12:18
Koujiさん、本当に魚面に見えるってもんじゃないでしょ?しかもかなりデカイんですよ!
それなのに、小光子が地元の人たちと「ゴーライの鍋」で宴会をやって、初めて彼らが魚面岩の存在を知らなかったことを知ったのですよ。誠に不思議に思って、伝説を創ってみたくなりました
小光子
2010/04/22 15:43
彩風さんも、イロイロ考えるもんだね。まあ時代背景のムチャクチャなところは、わかっていて無視しました。その方がミンナにわかりやすいかな?と思ってね。物語も単純すぎますか まあ、本当のことで、面白い話が沢山重なって、残しておきたかったんだよ!果無山脈(はてなしさんみゃく)、千丈山、市鹿野、ゴーライやカシャンボの妖怪の話、落人達で出来たという寒村、ゴーライみたいなのにかじられて、中指を失ってしまった村民、その近くに住む小光子の友人のソウスケさん、そして、鮎やサクラマス、また、河口から何十キロも離れているのに、ボラが遡ってくる話、なんかがあってね。そして、なによりも、この大きな魚面岩を地元の人が知らなかった驚き、があって、話を創ってみたかったんだよ!小光子とseturinkoが第一発見者ということ・・・。
まあ、小説家みたいに、あまり込み入ったものは、ワタシャにはなかなか・・・ね。
でも彩風さんの提案もちょっと考えてみます。
別件で・・・・・
小光子
2010/04/22 16:51
Egaさん、南紀にいかれましたか?
それなら南風館もいいんですけどね。
でも今は、小光子自身がナカナカ行けませんからね
この創り話には、本当のことが沢山含まれているのですよ!勿論、友人のソウスケさんは実在します。そして、イノシシに中指をかじられて、無くしてしまった人も実在します。みんな、底抜けに明るいんですよ
小光子
2010/04/22 19:00
へぇー、へぇーって言いながら読んでたのですが…

小光子様の小説でしたか。
まんまと実話だと、騙される所でした(笑)

これから、こんなblogの更新があると楽しいですっ
次回作、期待してま〜す♪
シュンメ
2010/04/28 21:29
 シュンメさん、今晩は!
小光子はバカだから、そういわれると調子に乗りますよ。しかし、こんな面白い事実が重なることは余りありませんので・・・。
 果無山脈(はてなしさんみゃく)なんて、すごく楽しい名付けだと思いませんか
隠棲しているソウスケさんも、魚面岩も事実なので、楽しくなり作り話を書いてみたのですよ。
ブログは少し端折って書いていますが・・・。
原文は「殿山小町」が登場するんですよ
小光子
2010/04/29 22:19

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